聖書のお話2025.08.24

 【聖書箇所】列王記 第一 6:1~2、11:1~6

【説 教 題】神殿建築とソロモンの失敗

【中心聖句】あなたの行く道すべてにおいて、主を知れ。

主があなたの進む道をまっすぐにされる。(箴言3:6)

【説 教 者】黒田 明

【新 聖 歌】311いかに恐るべき



 ソロモンが王になって4年目のことになります。彼は父ダビデから託された神殿建築という大事業に取りかかるのです。ちなみに、その神殿の構造についてですが、基本的には荒野の時代の幕屋と同じでした。手前には犠牲をささげる祭壇があり、その奥には本堂(聖所)と内堂(至聖所)がある建物になっていたのです。そしていよいよ神殿が完成すると、そこは罪を贖うための犠牲の儀式が行なわれる場となりました。また、神がイスラエルの民と共にいてくださる臨在のあかしとして、彼らにとっては決定的に大切な信仰の施設ともなっていったのです。

 ということで、ソロモンのときに神殿は完成しました。でも、その父ダビデこそが神殿建築を念願していたのです。しかし、それは神のときではありませんでした。神がダビデに求めておられたのはそのための下準備だったのです。すなわち、彼はまず神殿建築のための場所を確保しました。また、引き継ぐ息子ソロモンのためには、資材の調達や自国にはない高度な技術を近隣の国々から得るための外交等々、できる限りの準備をしていったのです。要するに、そのような父ダビデの努力と情熱があったからこそ、ソロモンもそれに応えて最善を尽くし、神殿の完成をみることができたのです。

 なお、ソロモンはこうしてダビデの願いを引き継ぎ、念願の神殿を完成させたわけですが、実は、その第二期工事として今度は宮殿の建築にも取り組みました。調べによると、神殿完成には7年、宮殿完成には13年の年月が費やされました。ちなみに、完成した神殿についてもう少し説明を加えますと、その長さは26㍍、幅は9㍍、高さは13㍍の建物になります。そこには膨大な金や銀や宝石などがふんだんに用いられていました。というわけで、そのスケールの大きさといい、豪華さといい、細工の巧みさといい、当時の世界建築においてこれに並ぶものはなかったと言われているのです。

そして、その神殿には父ダビデが戦利品として得たすべてのものが運び入れられました。祭司たちの手によっては、大切な契約の箱が至聖所に納められました。するとどうでしょう。輝かしい神の栄光が神殿に満ちあふれてきたものですから、ソロモンは主の御前にへりくだるのです。そして、罪の赦しと悔い改めを受け入れていただくことを求めて、民を代表し神に祈りをささげるのです。また、完成した神殿は神のものであるとして、これをささげる奉献の祈りがなされたのです。

というわけで、実にすばらしい神殿建築と奉献の祈りをささげたソロモンではありましたが…。とはいえ、人間だれしもが罪深い存在です。後になって、ソロモンも同様に悪しき罪にとらわれてしまうのです。すなわち、イスラエルの地位が国際的に高まり、諸外国との交流が進み、王への称賛の声が高まっていくにつれて、富の誘惑、性的な誘惑、宗教的な誘惑に勝利することができず、ソロモンは屈していくのです。思うに、彼は父ダビデの失敗やサウル王の失敗を知っていたはずです。しかし、人間はそもそもが罪深いので、ソロモン自身も罪を犯し、それに勝利できず、彼の人生の後半その繁栄がもろくも崩れ果てていくのです。

はたして、そのきっかけは何だったのでしょうか。思うに、ソロモンが王になった最初のころ、彼はエジプトの王パロの娘を妻として迎え入れたのですが、実は、ここからすでにじわりじわりと崩壊が始まっていたのです。というのも、エジプトの王パロの娘との結婚は、人間的な知恵を頼りにしてしまったところの政略結婚でした。つまり、まことの神への信仰からくる決断ではなかったということです。もちろん、彼に信仰がなかったわけではありません。けれども、神に信頼しきれない彼の弱さと妥協、信仰的無力さや無知、このようなものがソロモンの信仰的な決断をにぶらせる要因になっていったのです。

 こういうことで、以後、ソロモンは次々と外国の女性たちを妻に迎え入れ、また多くのそばめを召し入れるようになっていきました。Ⅰ列王11:3にはこうあります。彼には、七百人の王妃としての妻と、三百人の側女がいた。その妻たちが彼の心を転じた」と・・・。つまり、どういうことになるでしょうか。はじめは唯一の神である主にのみ従っていたソロモンでしたが、やがては妻やそばめたちの信じる他の神々をも認めて便宜をはかるようになっていき、ついには王を頂点としてイスラエル全体が偶像礼拝という信仰的堕落に落ち込んでいったのです。

 なお、神はソロモンのこうした態度をさばかれました。というのも、国外からは敵対者が起こり、王国は苦しい目に遭いましたし、国内からは反逆者が起こり、ソロモンの死後、イスラエルは2つの国に分裂してしまったからです。

 以上のようなわけで、私たちは今回、次の2つの教訓を得たいと思います。

  1. 神に対する初めの熱心さを失い、神から離れてしまうことがソロモンだけでなく、私たちにもありうるということに心をとめ、日々、神に信頼していくということ。

  2. 神に敵対して堕落するわけではないが、ときに妥協の道を選んで堕落していくこともあるということを覚え、ひたすら神の側に立って歩み続けていけるよう祈るということ。


というわけで、今回は次の聖句を覚えておくことにいたしましょう。箴言3:6のおことばです。


あなたの行く道すべてにおいて、主を知れ。

主があなたの進む道をまっすぐにされる。(箴言3:6)



【恵みの分かち合い】

1.サウル王、ダビデ王、ソロモン王の弱点は、各々、何だったでしょうか。

2.クリスチャンとして日本で生きていく上で、どんな困難がありますか。

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